しまなみポタリング日記
宇都宮一成

シクロツーリズムしまなみポタリングガイド
宇都宮一成
Kazunari Utsunomiya

自転車好きが高じて、遂にタンデム自転車世界一周を敢行!
「世界の人としまなみをつなぐ架け橋になりたい」と、
いま新たに日本・しまなみの魅力を再発見できる旅にいざなうべく、
愛媛の地でペダルを踏み続けています。

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「2013年12月」アーカイブ

ちょっとマニアックな離島訪問記<斎島編>

2013年12月11日

「持って行っても、走るところはありゃせんぞ」。
ここは安芸灘とびしま海道、呉市側から3番目の豊島(とよしま)。
その豊島港から南へ7kmほど沖にある“斎島(いつきしま)”へ渡る高速船に
乗船しようとすると、船員のおじさんからいぶかしげに言われた。

 

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1日5本の定期船が大崎下島、豊島、斎島を結んで運行されている。
運賃は330円、自転車代は130円。豊島港10:55発の便には、
斎島のおばあちゃんがふたりと、郵便配達の女性、そして僕の4名。
自転車は客室内に持ち込み、壁に寄せて停めておく。

 

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「あんたもぶち珍しいわいのぅ。自転車持って行く観光客なんかおらんのやが……」。
再び奇異の眼で見られながら出航。 それもそのはず、周囲は約4km、
面積も0.7km² ほどで、住民はわずか16名という、小さな小さな島なのだ。 
現在は過疎高齢化しているけれど、蒼い海と豊かな漁場に囲まれていて、
江戸初期から昭和の中頃までは、とにかく魚で潤っていた所だそうだ。

 

途中、大崎下島の港を経由するのだが、沖合いで警笛を鳴らし、
桟橋に人影がないのを確認して通過。 船長さんが、「この港は波消しが無いけん、
風の強い日は三角波が立って出にくい所じゃけぇ」と、操舵輪を回しながら
教えてくれるのだった。

 

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約17分で三日月型の砂浜に、赤色の浮き桟橋が見えてきた。斎島に到着。
船を降りると切符に付いた上陸券を回収される。そして、さあサイクリング開始! 
浜の端にある桟橋をスタートして、コンクリートの道をたどる。
左手に家屋と緑林の山、右手に砂浜と青い海原。
この島には不釣合いなほど大きな研修宿泊施設「あびの里いつき」の前を通過し、
鳥居を横目に前進。

 

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島に信号は無く、たぶん車も無い。島民はいるはずだけど人影も無い。
竹柵に囲われた畑の横を抜けて湾を回り込んで行くと、もう道の終点。
走行距離500m、所要2分の斎島サイクリングを無事達成。
交通事故の心配が無くて、とても良い所やね!

 

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では、ベイエリアを離れて集落の細路に潜入してみよう。
最盛期には500余人もが暮らしていただけに家屋数は多く、二階建ての家々が目に付く。
が、いまは大半が廃屋のようだ。宅地跡もそこかしこにあり、雑草が茂っていたり、
野菜畑にしてあったり。さびたトタン屋根、辻々にある井戸、傘電球の街灯・・・昭和のまま
時間が止まってしまったような感覚にとらわれはじめていると、ある古民家の裏手で
昼のバラエティ番組が聞こえてきた。それとともにお昼ごはんの匂いも。
ひとの生活の気配にホッと救われたような気がするのだった。

 

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浜辺に大きな赤い電球を付けた板小屋を発見。消防団の倉庫かな?
格子戸からのぞいてみると、手押し車に積まれた発電式の消防ポンプと
消防ホースが置かれてる。外の横壁には赤い郵便ポストも取付けてある。
郵便配達中の女性が辻から現れて「時間がたっぷりあるけん、
何往復も出来ようね」と笑いかけてくれた。

 

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「あんた、何しに来とちゃった?」という声に振り返ると、白い長靴に青い帽子の
おじいちゃんがトコトコと近づいてきた。「走るとこなんか、なかろうが!」と怒ったような
口調にびっくりしたけど、けして怒っているわけではなさそうだ。

 

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地面に干したひじきを混ぜ返しながら、斎島で生まれ、20代後半で関西に勤めに出て、
50代になって親の面倒を見るために帰島。今は、漁をしたり、畑で野菜を育てながら
暮らしているのだと話してくれる。
そして、「昔は、隣近所で助け合いの関係があったけんど、今は人もおらんようになって、
そんなんもなくなってしもうた……」と、以前はてっぺんまで畑だったという山をながめて、
寂しげに言うのだった。

 

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集落の奥地に自転車をとめて、竹やぶにおおわれてしまった山の荒れた道をたどる。
おじいちゃんに教えられた“マナイタ浜”は、島の裏手にあるらしい。白い砂浜が広がり、
潮が引くと沖にまな板のような細長い岩場が見えるという島の名勝地なんだとか。
が、途中で道を間違えたらしく、みかん畑へと迷い込む。引き返して浜へ降りる道を
見つけた時には、そろそろ帰りの船の出港が迫っていた。残念だけど時間切れ。
潮の引く夕刻の方がベストタイミングということなので、いつか野宿キャンプをしに来てみようかな。
人っ子一人いない浜辺で星空を楽しむのもすごく面白そう。

 

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桟橋に戻り、待機している切符売りのおじさんに料金を払い、12:40発の便に乗船。
帰りは郵便女性と僕の2名だけ。
「昔の話じゃけんど、ぶり釣りの好きな伊予と安芸の殿様が島の取り合いをしてのぅ、
とんちを利かせた安芸の殿様の島になったんじゃけぇ。ほいじゃが、山のてっぺんにだけ
笠の広さぐらいの伊予の土地も残とったらしいけぇのぅ。こげな歴史の話も面白かろうが」
と船員さんが自慢げに話すのを聞いている間に、船は豊浜港へ帰着。

 

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ディープな離島めぐりの旅“斎島”。
その魅力はたった90分ほどの滞在じゃあ、ちょっと味わいつくせなかったなあー。

by なりちゃん  at 20:09  | Permalink  | Comments (2)  | Trackbacks (0)

うどんの原(とびしま海道「上蒲刈島」)

2013年12月 3日

安芸灘とびしま海道<上蒲刈島>

 

2006年頃から移動販売車で営業開始した「うどんの原」。
地元の人々が入れ替わり立ち代り訪れる人気店だ。
屋台風なので気軽に利用しやすく、よしずで囲んだ手造りの飲食空間も居心地がよい。 
そして、手作りのバイクスタンドも完備されている。

 

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特徴は呉名物の細麺うどん。
手造りのかつおと昆布の効いたスープがうまくからんでやみつきになる。
人気メニューは野菜かき揚げの“天ぷらうどん”。季節によって野菜が
微妙に変化するそうだ。肉うどんもぜひ押さえておきたい。備え付けの
自家製の梅干を入れて味わうと地元通。

 

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もともとは島の北東、大浦港で開店。
しかし、とびしま海道全線開通後に大浦港が運用中止された。
お店をたたむつもりでいたが、常連さんの熱い要望で、現在の原トンネル東口付近に移転。

 

実は、うどんの替わりに中華そばを入れる“ハイカラそば”も隠れた一品。
移転後はメニューから消していたのだが、少数ファンの意向に応えて復刻。
お客さんの声をしっかり受け止めて営業してくれる女将さんの人柄が人気のヒミツかも。
好みの具をトッピングして味わえば美味しさは倍増だ!

 

「橋代を払っても、遠方から食べに来てくれる人がおるから、雨の日と通院の日以外は
お店を開けるようにしとるんよ」と女将さん。
「ボケ防止になるから止めるな」と子どもたちからは言われているとか。

 

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暑い日も寒い日も、販売車の中で調理したてのうどんをこしらえてくれる
真心のこもったうどん。 見かけたら食べずに通過なんて出来ないハズだ!

 

【うどんの原】
呉市蒲刈町大浦字原
営業:11時~15時頃
休み:不定休(雨天時等)
メニュー:天ぷらうどん480円 肉うどん480円 ハイカラそば330円 などなど

by なりちゃん  at 19:16  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)
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