初めて自転車に乗れたときのことを覚えていますか。
おそるおそるペダルを漕いでいたのが、徐々に慣れてきて、ついに風を切って走り出す―。なんて気持ちがいいんだろう!と、心がはずんだのではないでしょうか。
スポーツバイクに初めて乗った人も、そのスピード感に驚き、「走るのがとても楽しい」と口を揃えます。
自転車で走る。
それは、とても楽しいことです。美しい景色の中、スピード感をもって走り、気持ちいいと感じることで、脳から神経伝達物質のひとつであるドーパミンが分泌されます。それにより、神経細胞が活性化され、集中力も高まり、ストレス解消や気分転換になります。
しまなみアウトドアフィットネスプロジェクト「自転車に乗って健康になろう!」の参加者の心理面の変化を調べてみたところ、自転車に乗ることにより、「疲労」や「抑うつ・落ち込み」が改善し、「活気」が出てきたことがわかりました(グラフ1参照)。
「緊張・不安」「怒り・敵意」といったネガティブな感情も、少なくなった人が6割強にもなっています。
自転車を走らせる大事なエンジン、それは脚です。
脚は「遅筋」が多いので、自転車を長く漕ぎ続けるために、たくさんの酸素を必要とします。そのため、酸素を取り込む呼吸器の機能が向上することが期待できます。また呼吸器で取り込んだ酸素は心臓を通って脚まで運ばれるのですが、それにより循環器も鍛えられ、心肺機能が強化されます。
1分間に体内に摂取される酸素の最大量を「最大酸素摂取量」といい、この数値が高いと持久力も高くなります。自転車を漕げば、心肺機能が強化されて体内に取り込める酸素量が増え、必然的に持久力もアップします。
持久力がアップすれば疲れにくい体になり、それは心の元気へとつながっていきます。
自転車はまた、新たな仲間づくりにも役立ちます。
サークルや自転車のツアーに参加してみるのも、とても楽しいものです。特にツアーは、知っているようで知らなかったところへも案内してくれたり、おいしいものを求めて巡ったりと、自転車にプラスのお楽しみを加えた内容のものが多くあります。参加してみれば、いろいろな人と出会うことができます。
体はもちろん心の健康づくりにも、自転車はおおいに役立ちます。
さあ、さっそうとペダルを漕ぎ出してみませんか。