●自転車の経験は?

　もう30年以上も前になりますが、学生時代、サイクリング部に所属していました。大学が京都だったので、観光名所があちらこちらにあります。そういうところに自転車だったら安上がりに行けるかなと思って入ったんです。入部後はそういうポタリングももちろんしていましたが、メインは自転車の旅でした。
　そのころ乗っていたのはランドナーという、旅をするための自転車です。公民館などに泊まらせてもらう4泊5日のツーリングをしたり、輪行で出かけて民宿やユースホステルを利用した旅もしたり、自転車でいろいろなところへ出かけていました。ときには駅やバス停とかでも寝ていました。けっこうハードなことしていましたね、今から思うと(笑)。
　夫とも、大学は違うのですが、サイクリング部の活動で知り合ったんですよ。

●自転車再開のきっかけは?

　結婚して子育てなどが忙しくて、自転車から離れていたんですが、子どもたちも成人し自分の時間ができて何かしたいと思ったとき、「やりたいことリスト」の上位に自転車があったんです。でも、なかなか試乗とかできないですし、乗りたいと思いつつも実現できないでいました。
　でも、ある日、スポーツバイクを扱う自転車屋さんに話を聞きにいったんですね。ちょうどツーリングから帰ってきたばかりの女性のお客さんがいて、話を聞いていたらすごく楽しそうで、乗りたい気持ちがどんどんふくらんでいきました。でも、今54歳なんですけど、この年ではじめても大丈夫かなとか心配もあったんです。
　そのときは購入するという話にならず、そのまま帰宅したんですが、その自転車屋さんのホームページを見ていたら、シクロツーリズムしまなみにリンクが貼られていて、「へえ、こんなのがあるんだ」ってポチッとしてみたんです。そうしたら、自転車をレンタルしますという文字が飛び込んできて。自転車を使った健康増進プログラムの案内でした。「わあ、貸してくれるの?!」って一気にテンションが上がって、参加しようと決めました。
　そのプログラムがきっかけで30年ぶりに自転車に乗ることになったのです。

●久しぶりに乗ってみたときは?

　自転車って気持ちが高揚するというか、しんどいけど楽しいんですよね!プログラム参加中は貸していただいた自転車を通勤で使わせてもらってたんです。川沿いのサイクリングロードを経由する約8kmの道のりで、とてもいいリフレッシュタイムでした。川沿いの土手は風も強くてしんどいんですが、それが励みにもなりました。
　スポーツバイクはギアがあって、上りもギアを上手に使えばスルスル上れるし楽に走れますね。学生時代にランドナーに乗っていたときと比べて、車種が違うせいもあるんでしょうがとても軽いし、性能もぐんとアップしていますね。
　プログラム終了後、ロードバイクを買ってしまいました。クロスバイクにしようかどうしようか迷ってたんですよね。ロードに乗るのは不安だし、値段も高いし・・・。そんなとき、えひめシニアサイクリングというSNSサイトで知り合った、私よりちょっと年上の女性が「私もロードに乗っているのよ。一緒に走りましょうよ」と言ってくださって、「ロードに乗りなさい、しかもいいのに乗りなさい」って。その言葉に背中を押されてロードバイクを選びました。
　私があんまり楽しそうに乗っているせいか、夫も購入してサイクリングを再開したんですよ。まだ私が自転車に乗っていないとき、「一緒に乗らない?」って誘っていたのに、彼は大型バイクの免許を取得していて信州とか九州とかツーリングに出かけていたので、「オレにはバイクがあるからいい」って言っていたんですよ。それなのに今ではすっかり自転車の虜になっているようです。

自転車に乗ってみて変化は?

　やっぱり気分が上がります。ちょっとテンション上げすぎって家族から言われるほどです。楽しいですよね。こんなところにこんなものがあったのかって発見ができたりして。この間も栗を発見して、「わ、栗だ!栗だ!」って大騒ぎしちゃいました。自転車って季節を感じられるのもいいですよね。そこが自動車との違いですね。
　健康面でいうと、友だちに「やせた?」って言われます。体重は変わらないので、筋肉がついてきたのかなと思っています。体力もアップしたと思います。

どんなふうに楽しんでいる?

　ロードバイクを買うとき背中を押してくれた女性に誘われて、サークルに参加してグループライドを楽しんでいます。年齢も性別も職業も関係なく、いろいろな人たちと知り合えて楽しいですね。女性もけっこういますよ。スポーツバイク人気が女性にも広まっているんだなと思います。
　自転車って走っているときは会話できないでしょ。だから、休憩で停車したときに「さっきこんな花が咲いていたけど、見た?」なんて、他愛のないことでも盛り上がります。
　孫が岡山にいるので、しまなみ海道を自転車で走って会いに行きたいですね。「おばあちゃん、自転車に乗って会いに来たよ」って。で、その足で兵庫にある実家にも行きたいな。両親、きっとびっくりするでしょうね。30年前とちっとも変わってないと、すごく驚くと思うんです。ぜひとも実現させたいですね。