一本のフィルム

2010年2月15日

 

タンデム自転車世界一周中、
始めの7年間はフィルムカメラ、その後3年間はデジタルカメラを使いました。

 

まだフィルムカメラの頃は撮影済みのスライドフィルムを不要になった荷物と一緒に、定期的に日本へ郵便で送り返していました。母親がそれをカメラ屋へ持って行き、現像後は実家で保管してくれていました。

 

旅を終えてから、数百本のフィルムを整理してみたところ、残念ながら一本だけ行方不明になっていました。それは2001年の夏、北欧で撮影したフィルムです。

 

家の中でどこかに紛れ込んだのか、あるいは税関で開封された時に紛失したのか……。

 

想像するだけで、発見の糸口はたどれずにいました。

 

それが1年ほど前のある日、父親が

 

「これ、お前のフィルムか?」

 

と差し出したのは、探しても見つからなかったあの一本のフィルムでした。きちんとスリーブの状態で現像してありました。

 

「あっ!」
と驚いていると

 

「カタヤマ・カメラ屋の主人が、お店をたたむんで整理しよったら出てきたらしい。”これ、写っとるの息子さんやなかろうか”と言うて渡してくれたんやけどな……」と父親。

 

「実は、ずーと前にもカメラ屋で同じこと聞かれたんやけど、その時は見もせずと”違うやろ”と言うたんよ。やけど今度は気になって見てみたら、お前らが写っとたんよ」

タンデム自転車世界一周、宇都宮一成・トモ子夫妻の一本のフィルム
タンデム自転車世界一周、一本のフィルム

無事に8年ぶりに手元に戻ってきました。
カメラ屋さんありがとう。

 

でも、母親がいつもフォルムを現像に出していたのは別のお店なのです。
なぜ、カタヤマ・カメラ屋に僕らのフィルムがあったのだろう。
その疑問に、今でも頭をひねっています。

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