世界一周・海外自転車旅行記<おすすめ本>紹介

坂本達著「やった。」

2013年6月 2日

自転車旅行記紹介<1>
★坂本達著「やった。」★ 2001年初版 ミキハウス

4年3ヶ月の有給休暇で世界一周5万5000キロを自転車で走った坂本達さん。

 

僕たちは、この本を携えて中央アジア、中国、パキスタンを走りました。本文中のカラコルム・ハイウェイなどの写真は素晴らしく、北部パキスタンを谷から谷へと自転車で回るきっかけにもなりました。

達さんとは2003年に初めてウズベキスタンで会い、著書にサインをもらいました。その本はお土産や地図と一緒にパキスタンから郵送したのですが、何故か本だけが行方不明に・・・。

 

ようやく再入手。10年振りにページを開きました。

 

石田ゆうすけ著「行かずに死ねるか!」

2013年6月 3日

自転車旅行記収集中<2>
★石田ゆうすけ著「行かずに死ねるか!」★ (単行本) 2003年初版 実業之日本社

突出した文章力で数多くのサイクリストたちを魅了している一冊。

 

ポーランドでキノコ売りのじいさんと繰り広げる一面が、僕の中では印象的。旅に慣れ、その国の言語に不慣れなために、つい相手のことを疑ってしまっていた著者。・・・おじいさんの意図をハッと理解した瞬間、人とのつながりの中で旅が醸成されてゆくことに気付かされる・・・リアルに旅心がうずいてしまうくだりでした。

石田さんとは、ほぼ同時期に旅をしていました。しかも彼のあとを1~2年後に追いかけるようなルートで。ロンドンの日本語フリーペーパーに連載していた旅行記、日本人宿の情報ノートに残された手記、そしてメールでの情報交換などを通して、なんて上手な文章を書く人なのだろう・・・と驚きながら、彼の足跡をたどっていました。

 

そんな石田さんと初めて会ったのは、お互いが旅を終えてからのこと。彼が行きつけの、いまどきクラシックレコードがかかる阿佐ヶ谷の古びた喫茶店でした。その後も続々と本を出版し、各地で講演活動に励んでいる姿は、今でも僕に影響を与えてくれています。

 

さて、なんと!! その石田さんをお招きして、この今治の地でついにトークライブを開くことになりました。 

※終了したイベントです。

しかも、話を聞くだけじゃない。一緒にサイクリングも楽しもうじゃないかという、とっても贅沢な企画です。7月14日(日)&15日(月・祝)、みなさ~ん、石田さんに会いに来ませんか。そして一緒に、しまなみ離島巡りへレッツゴー!

 

深町達也著「ヒマラヤ ペダル越え」

2013年6月 4日

自転車旅行記収集中<3>
★深町達也著「ヒマラヤ ペダル越え」★ (単行本) 1989年初版 文藝春秋

チベット高原に“中国・ネパール友好道路”という道があることを、僕に教えてくれた一冊。

 

著者がこの道を自転車で旅をしたのは1986年。

秘境だったチベットが外国人に開放され、友好道路の通行が許可され始めたまだ間もない頃のこと。

改めて読み返してみて、チベット人や子どもたち、そして外国人旅行者と出会いを繰り返しながら、次第にチベットの世界観に浸ってゆく様子に、すごく共感を覚えました。

 

腕時計を憐れなほどに無心する子どもの手首に、ヘタクソながら腕時計の絵を描いてあげると、満足して幸せそうにしている子どもたち。その姿に“幸せ”とは・・・と考えさせられる著者。このくだりがとても印象的。

 

深町さんにはお会いしたことはないのですが、
今何をなさっているんでしょうね。なんだか気になります。

 

川端裕介・るり子著「ちゃりんこ西方見聞録」

2013年6月 6日

自転車旅行記紹介<4>
★川端裕介・るり子著「ちゃりんこ西方見聞録」★ (単行本) 1991年初版 朝日新聞社

1989年から1年2ヶ月をかけて、奈良からイタリアのローマまでシルクロードを走破した夫妻の旅録。

 

当時はまだ、海外に出かける日本人サイクリストのカップルは皆無に近く、その書籍化もこれが日本初。夫妻が交互に書き進めてゆく旅行記の形態は、幾度も読み返すうちに僕のバイブルとなり.. タンデム自転車世界旅行中に更新していたHPや、自分たちの著書に大きな影響を与えてくれました。

 

お気に入りは、イラン西部の荒野でコミテ(革命委員会)に囲まれて、夫婦ケンカを繰り広げるシーン。

 

鬼も恐れぬコミテの男たちが気勢をそがれて、ふたりのケンカをなだめ、軽食でもてなしをはじめる。「イランに入って以来、しばしば嫌悪感を感じたコミテが、これほど人間らしく見えたことはない」と著者は言う。そうか、因縁をつけられたり、面倒に巻き込まれそうなときには、日本人同士で怒鳴りあいのケンカを始めると相手は怯むのか。。。

 

自分たちも実践しました。効果は・・・絶大。

 

視点の違い、考え方のずれに折り合いをつけ、許容しながら、同じ時間と同じ風景を共有してゆく夫妻。

 

読み進むうちに“ひとり旅もいいけれど、やっぱりふたりで旅に出たい!”この本はそんな気持ちをかき立ててくれる力に満ちています。

  

2000年には朝日文庫より文庫本化。

 

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Profile

宇都宮一成うつのみやかずなり

自転車好きが高じて10年かけて夫婦でタンデム自転車による世界一周を敢行。88カ国を巡った。帰国後、NPO法人シクロツーリズムしまなみでポタリングガイドとして島走中。しまなみ海道の魅力再発見のため島々をすみからすみまで走る回る毎日を過ごしている。

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