潮流体験(大島)
【しまなみオススメMAP・大島】しまなみ海道・大島の北側、宮窪地区にあり村上海賊ミュージアム。そのすぐ目の前にある能島水軍から出ている観光遊覧船で「潮流体験」が人気のアクティビティとなっています。大島と伯方島の間の海峡、このエリアでもトップレベルに潮流の速いスポットとして知られる潮流ポイントへ。船頭さんの巧みな舵さばきでここでしかできない体験が待っていました。
村上水軍の拠点海域を船で巡る
潮流の規模は、干潮・満潮に左右されるので、事前にお問い合わせされることをおすすめします。
大島・宮窪港から観光遊覧船が出ている。中世、瀬戸内海を舞台に活躍した能島村上水軍の拠点があった能島周辺を約30分かけて巡る。
出航時、船は想像していた以上のスピードで進み、水上スキーをしているみたいな気分になる。船が海面に叩きつけられ超スリリング。
能島の潮流ポイントに入ると、船はエンジンを切る。潮流に身をまかせ、船は笹船ように回転し流される。潮流の激しさを実感してもらおうという演出だ。渦も巻いていて、その中に手を突っ込めそうなほど間近で見ることができる。徳島・鳴門からの観光客も、「ここの渦の方がすごい」と舌を巻くらしい。
大迫力の船折瀬戸で潮流を体感
船を圧し折るほど潮の流れが速いことで知られる海域「船折瀬戸(ふなおれせと)」でもエンジンが止まる。台風の直撃を受けた川の中にいるようだ。ここは、大阪・九州を結ぶ最短航路になっていて、往来する船舶が多い。水軍たちは「船に乗るより、潮に乗れ」と言っていたそうだが、このあたりの海域は、流れを熟知していないと船を操ることはできない。
海水が海底から噴出しているように見えるポイントもある。「潮が湧く」と表現されていて、これは、海水が海底の岩礁に当たり、流れが上方向に変わるからだそうだ。突き出した岩礁から滝壺のように海水が流れ落ちるポイントでは、白く泡立っている。「潮流」と「渦」は、この海域ならではの自然が織り成す芸術品だ。
波静かなところは、まるで鏡のようで、この2つの表情が一層神秘性を高めている。
潮流体験船では歴史や民話の紹介も
船内アナウンスでは、観光船ルートが舞台になっている民話を方言で紹介してくれていて興味深い。ここで獲れた魚は身がしまって美味いと言うが、潮流を体験して納得した。船の発着場所は、地元の魚介類をバーベキューなどで味わうことができるレストランの横にある。食べてから乗るか、乗ってから食べるかは、自由だ。
潮流の規模は、干潮・満潮に左右されるので、事前にお問い合わせされることをおすすめします。
船頭の村上金春さん
大島の北側に位置する宮窪町。
伯方島との狭い海峡を、怒とうのように暴れる潮流。この海域に浮かぶ離れ小島のひとつが、中世の頃に能島水軍が城を築いた能島。まさに天然の要害に囲まれた海城があった。
この激流の中、観光船を巧みに操り、日本有数の潮流と能島を間近に楽しませてくれるのは、船頭の村上金春さん。
シャープな体つき、日焼けした顔、舵をとりながらタバコをくゆらせている姿がすごくイナセだ。カメラを向けると気軽に目線をくれた。「若いお客さんにも、もっと来てもらえたらいいんやけどなぁ」と会話が始まる。
宮窪町の基幹産業は漁業。しかし外国産の輸入、消費者の魚離れ、卸価格も低迷と、漁師を取巻く環境はキビシイそうだ。金春さんも元漁師。「獲るにしても潜るにしても、人間の運やけん。獲る人は獲るし、獲れん人は獲れん。漁の要領を覚えて、誰も知らんポイントへ行かんと獲れりゃあせん」…漁場を知ることが生命線だという。
現在は、漁船から観光船に乗り換えた金春さん。「船に乗るより、潮に乗れ」という、潮流を熟知した水軍の教えを今に再現し、鮮やかな舵さばきで乗客に水軍気分を思い切り満喫させる日々が続いている。
2009年取材
潮流体験 | |
---|---|
住所 | 今治市宮窪町宮窪1293-2 潮流体験&魚食レストラン「能島水軍」 |
電話 | 0897-86-3323 |
定休日 | 月曜日 (祝日の場合は翌日) |
営業時間 | 9:00~16:00 |
人数 | 平日は予約運航(2名~) |
料金 | 一般¥1,000 小学生¥500 小学生未満 無料 |
ウェブ | 公式ウェブサイト |