石の魚たち(大島)
大島の石文化を発信しようと、平成5年に結成されたのが宮窪石彫サークル。
メンバーたちは、大島石を活用した作品を制作することで、大島石の付加価値を高め、地場産業や地域の活性化をめざしている。
しまなみ海道沿線の公共施設や公園には、同サークルが手がけた「魚」の石彫作品が展示されている。サイクリストたちの御用達スポット「サンライズ糸山」や、「道の駅・よしうみいきいき館」、「石文化運動公園」などで見られる。
魚をモチーフにしたのは、かけがえのない美しい瀬戸内海の自然を保護したいという熱い思いと、世界有数の漁場となっている瀬戸内海から獲れる美味しい魚のPRを願ってのことだ。同サークルが作品づくりで使用している石は、採石場から切り出される廃石だ。宮窪町内にある約40カ所の採石場からは、年間約40万トンの大島石が掘り出されていという。
大島石は、墓石として全国的にもその名が知られている。長石(ちょうせき)、雲母(うんも)、石英(せきえい)などのバランスが均一なため「硬くて風化に耐える」からだ。しかし、わずかなキズがあっても廃石になるそうで、墓石に使われる石は、ほんの2割。残りは、石垣などの建築資材や護岸石などに使われている。そうした廃石を有効利用しようと立ち上がったのが同サークルだ。
メンバーの一人、黒光武さんは、「石の彫刻は制作途中で割れてしまうと、とりかえしのつかないことになってしまうが、石そのものの個性を活かしきった作品を、何ヶ月もかけてつくりあげた時の充実感は格別なんですよ」と笑う。
宮窪町にある「石文化運動公園」には、同サークルが制作した作品が多数点在している。人気の記念写真スポットにもなっているので、ぜひ立ち寄って、その巨大な石のオブジェに触れてみて!